この記事でわかること
- 受託案件から汎用パッケージを作る発想と手順
- Next.js+Cloudflareでサーバーコストほぼゼロで商品化する方法
- LP自作・価格設定・集客まで全記録
「Excelで管理するのはもう限界」という声から始まった。
きっかけは、受託クライアントの三備(有限会社)から言われた一言でした。「見積書・作業依頼・現場報告……ぜんぶバラバラで、どれが最新かわからなくなる」「ExcelもPDFもLINEも混在していて、担当者が変わったら終わり」
こういった問題は、施工業・建設業・設備業に広く共通する課題です。そこで私は、施工業者向けの案件管理ツール「ダンドリ」を開発することにしました。最初は三備専用ツールとして開発していたものが、気づいたら汎用的なパッケージとして販売できる形になっていました。
ダンドリとは:案件の流れを一本化するWebツール

ダンドリは、施工業(1〜10名規模)向けの案件管理Webアプリです。「見積もり依頼が来た→現調した→見積書を出した→受注→施工→請求」という一連の流れを1つの画面で管理できます。
- 案件ステータス管理(見込み→受注→施工中→完了)
- 顧客・現場情報の一元管理
- 見積もり履歴の記録と参照
- スマホからも確認できるレスポンシブ対応
- 無料デモ版あり(10件まで)
技術スタックはNext.js(フロント)+Cloudflare Workers(バックエンド)+D1(DB)。すべてCloudflareのサービスで完結させることで、サーバー代をほぼゼロに抑えながら安定運用ができています。
開発から商品化までの流れ

- Phase 1:三備専用ツールとして開発(2025年11月〜)
最初はクライアント(三備)の課題解決として開発を始めました。「メールが来たら自動でダンドリに案件登録する」「Driveと同期する」など、三備固有の業務フローに沿った機能を追加していきました。 - Phase 2:汎用化の気づき(2026年3月)
ある日、別の施工業者から「うちも同じ問題がある」という話を聞きました。「これ、三備だけじゃなくて業界全体の課題じゃないか?」そこから汎用パッケージ化を本格的に検討し始めました。 - Phase 3:商品化・LP作成・価格設定(2026年4月)
2026年4月17日、ついに「ダンドリ」として正式リリースしました。
これらの開発ステップの設計・方針は私が決め、実際のプログラム作成・設定ファイル作成はClaude Codeに任せました。
- 無料デモ版:10件まで無料(LocalStorage管理・登録不要)
- 買い切りプラン:198,000円(カスタマイズなし・即利用可)
- カスタマイズプラン:+50〜150万円(独自ロゴ・業種別項目追加等)
- 月額メンテナンス:6,980円/月(アップデート・サポート)
- 三備特別価格:月額4,980円/月(既存クライアント優遇)
商品化で一番大変だった「名前と価格の決め方」

ツールを作ること自体よりも、商品化で最も悩んだのが「名前と価格」でした。
名前は「プロセス感」で決めた
最初は「sales-pipeline」という英語名にしていました。でも受託クライアントに見せると「なんて読むの?」と言われてしまいました。そこで「段取り」=施工業にとって最重要スキルであることから「ダンドリ」に変更。カタカナにした理由は「親しみやすさ」と「検索しやすさ」です。
198,000円という買い切り価格は「1件の案件ロスを防ぐコスト」と同等かそれ以下という設定です。また、IT導入補助金(中小企業向けの最大4/5補助)の活用も念頭に置いて価格帯を決めました。補助金が通れば実質40,000円以下でダンドリを導入できる計算になります。
LP(ランディングページ)を自分で作った話

商品化にあたって、まずLPを作りました。デザインはゼロから自分でNext.jsで書き、Vercelに無料で公開。費用は完全にゼロです。
LPに入れた要素は以下の通りです。
- ターゲット(施工業1〜10名・営業管理ができていない中小企業)を明記
- 課題提示(Excel・LINE・PDF散乱の問題)
- 解決策(ダンドリの機能紹介)
- デモ動画・スクリーンショット
- 価格と問い合わせGoogleフォーム
さらに、A/Bテストも実施しました。デザイン案を2つ(アイソメ立体・青系 vs 線画・和モダン)作り、Vercel AnalyticsでどちらがCTAクリック率が高いかを計測。Threads投稿のURLにUTMパラメーターを付与して流入を振り分けました。
「無料デモ版」という入り口の重要性

有料販売をするにあたって、最初に実装したのが「無料デモ版」です。LocalStorage(ブラウザのデータ保存機能)を使って10件まで無料で使えるバージョンを公開しました。サーバーもDBも不要なので、運営コストはゼロです。
無料デモを作った理由は2つあります。
- 「使ってみてよかったら買う」という自然な購買フローを作るため(強引なセールスをしなくていい)
- デモを使った人が「これで限界、もっと使いたい」と感じたタイミングで有料版のCTAが自然に訴求できる
この「まず触ってもらう」戦略は、BtoB SaaSの世界ではPLG(プロダクト・レッド・グロース)と呼ばれています。スモールビジネス向けツールでは特に有効な手法です。
Threadsで集客:8本バッチ投稿の戦略

LPが完成したら次は集客です。私が選んだのはThreadsへの定期投稿。Threads Graph APIを使って自動化も視野に入れながら、まずは手動で8本の投稿を一括作成してスケジュール投稿しました。
投稿内容は「施工業あるある」「Excel管理の限界エピソード」「導入前後の変化」など。読者の共感を呼ぶ内容を中心にして、LPへの誘導は自然な形で入れています。
実際に三備に導入した結果どうなったか

ダンドリを三備に本格導入してから、現場の動き方が変わってきました。以前は「どの案件がどのステータスか」を確認するたびに担当者に電話していましたが、今はダンドリを開けば全案件のステータスが一覧で見えます。
特に大きかったのは「案件漏れ」が減ったこと。メールで来た依頼が自動でダンドリに登録される仕組み(メール自動処理パイプライン)を組み込んだことで、「あの依頼、見てなかった」というヒューマンエラーがほぼなくなりました。
3ヶ月かかった開発をパッケージ販売できたポイント

この記事のまとめ
- 受託案件の課題解決から汎用パッケージ化の発想が生まれた
- Next.js+Cloudflareでサーバーコストほぼゼロで商品化
- LPは自作・Vercelで無料公開 → 販売コストもゼロ
- A/Bテストで反応を見ながらメッセージを改善
- Threads投稿8本バッチで集客を効率化
- 「三備専用ツール」を「業界向けパッケージ」に横展開できた
自分のツールを商品として売るには「誰のどんな課題を解くか」を言語化することが最優先です。三備という具体的なクライアントの課題があったから、リアルな訴求ができました。受託で作ったものを横展開する発想は、副業・フリーランスにとって強力な戦略です。

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